今後ますますAIやロボット、ICTなどによって「労働」の本質が変わります。ここで少し立ち止まって、「仕事とは」、「働くとは」いったい何かを考えてみましょう。

報酬の三分説

筆者は長年、良き仕事は3つの報酬で報いられるという「報酬の三分(さんぶん)説」という考え方を唱えています。

ひとつ目は「経済益」。一般的にはお金ですが、お金以外でも生きていくための糧(かて)となるものという意味です。最も多くの人が「報酬」と思っているものです。

2つ目は「評価益」。現代なら「いいね!」や「フォロワー数」に表れる世の評価です。経済益には少ししかならない(またはゼロ)でも、その仕事を通じて評価が上がれば(フォロワーが増えれば)、それも大きな報酬に違いありません。この「評価益」までは、いま多くの人が気にしていることでしょう。

3つ目は「満足益」です。その仕事ができて、誰に褒められなくてもお金にもならなくても、自分が嬉しいと満足できること。この満足益だけは、他人ではなく自分が自分に与えられる報酬です。逆にいうと自分が与えるしかない。それを与え、受け取れるかどうか…は現代においてとても大事な能力といえるでしょう。自己肯定感や自己効力感にも大きく繋がってきます。

ものづくりでも、流通やサービス業でも、行政マンでも、主婦でも、この原則は変わりません。

社員が多い…は昔の話
最少社員で大ビジネスを動かすのがこれからの大企業の典型

日本では「雇われる」働き方がスタンダード・・・仕事=就職と思っている人が多いでしょう。

ただ、昔の日本型企業なら社員として「経済益」「評価益」「満足益」を満たせたかもしれませんが、経済のグローバル化や、AIやロボットなどの発展で事情が変わっています。ここで一度、経営側や資本家の側から「雇用者」について考えてみましょう。

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企業を運営する側から考えれば、正社員の採用は経営の大きなリスクです。
当然ながら簡単には解雇できませんが、期待の成果を上げる保証はありません。一方固定費はかかり続けます。逆に期待以上に育つと、引き抜かれたり転職リスクもあります。留めるにはさらに固定費が上がります。

仮に月額25万円で一人雇用すれば、賞与ゼロでも年300万円。この額、外発注を考えるとけっこうまとまったコストですよね。

一方で、外部発注はICTによるスキマ時間の有効利用化などで年々安く高度化しています。ロボットなどの技術も日進月歩、数年待てばもっとコスパよく働く「人以外の何か」が出てくる可能性が高い。ですから、企業が正規雇用に慎重になるのも一度雇用した人を削ることもますます加速します。

昔は、大企業=社員が多い企業でした。今はまだ皆が名を知るような企業にはそれなりに多くの社員がいますが、それでも事業規模の割には昔に比べてだいぶ減ったはずです。今後は世界的有名企業でもさらに社員数は極小に、どの分野でもそうなるはずです。つまり、「雇われる」働き方はスタンダードではなくなるわけです。

大企業就職=安泰 は未来の若者の常識にはないはず
LIB:ローカルでインディに起業する選択肢

「雇われる」働き方はスタンダードではなくなる・・・とすると、シェアエコの担い手として自分の時間やスキルをシェアして働く、または自ら「起業」する人が多くなるでしょう。ならざるを得ないともいえます。

ただし、「起業」といってもいろいろあります。

古い価値観では「起業家」=グローバル市場×株式上場を目指すベンチャー起業家をイメージし、行政などもそういう人を育成しようとする事業が多いですが、それは「免許を取る人の中でレーサーを目指す人」くらいの例外ではないでしょうか。

世界を席巻する起業を目指すのも素晴らしいと思います。その一方で、身近なことで、自分の好きなローカルで、お店や教室や小さな商売などを始めても構わないわけです。

成功して超大金持ち!は、ローカルにインディなビジネス(LIB)をする人には少ないでしょう。その一方で、3つの報酬をバランスよく受け取れる満足感や幸福度が高い仕事が出来る可能性は高いのではないでしょうか。なんとか事業が回る程度の収益だけど毎日が楽しくて仕方ない…という人が増えたら、SDGsが目指すゴールに近づくはずです。

興味がある? 具体的には何からすればいいのか? はい、まずは、我々のLIB LABにぜひご参加ください。

こんな仕事の仕方、こんな生き方、こんな時間の過ごし方があるのか・・・と、多様な事例をいろいろ見てから、一度だけの大事な人生の使い方を決めれば良いかと思います。